【コミック4位】『執事と王子 愚弟カップリング計画』片霧ライラ【ウサギ】

王子と執事 愚弟カップリング計画(ジュネットコミックス ピアスシリーズ)王子と執事 愚弟カップリング計画(ジュネットコミックス ピアスシリーズ)
片霧 ライラ

ジュネット 2009-12-26


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姉の経営するメイド喫茶で執事バイトをしているハジメさんは大の女好き。メイドさんにもお嬢様にもモテモテの日々を送っていた。しかしそこにやってきた超イケメン新人執事の王子が現れ立場は激変。鬱屈した日々を送るハジメさんだったが、ある日酒を飲み過ぎてしまい、気付いたときには目の前に王子がいて……。
とかなんとか言いましたが、ぶっちゃけ今年のエロ枠です。ハジメさん王子とヤリまくっちゃってなんかだんだん王子が可愛く見えてきて王子は実は最初からハジメさん目当てでエロエロラブラブ! という話です。王子様が汁を撒き散らしつつ「らめぇ!」とか「しゅきぃ!」とか叫んじゃって、女装エッチしてみたり裸エプロンしてみたり緊縛プレイ・我慢プレイ・ナースプレイ(以下略)。ここまでやられるといろいろ爽快。でも意外にエピソード展開もテンポがよくて読ませます。
今年のエロ系BL枠は実に豊富でした。例えば葉月つや子の『腐ォロー』はレディコミ誌に掲載された男同士の恋愛模様という誰得な作品で、いかにもレディコミといった濡れ場が一種のカルチャーショック。一方、モンデンアキコの『一円の男』はレディコミ作家がBLに真正面から取り組んだ作品。別名義で般向け作品も書いているむとべりょうの『劣情』はちょっと壊れた痛々しいキャラクターと乾いたエロシーンが印象的。個人的にイチオシ、サキラの『セーラー男子』は男子の筋肉質な太ももとセーラー服という意外性。女の子みたいな美少年ではなく、ゴツイ男子にセーラー服というところに愛を感じます。環レンの『艶華 絶倫王と欲望王子』は父親の復讐を企む宦官が後宮で愛玩されまくる耽美ともエロともつかない怪作でした。裏表紙の「雄豚たちよ、跪け!!」は衝撃的。売り文句、という点では「オニに肉棒」という衝撃の帯で度肝を抜いた青山あると『オニぱんつ』などという作品もありました。
その中でもひときわ目についたのが、BL専門出版社として生まれ変わったジュネットの「期待の大型変態ニューフェイス 3ヶ月連続刊行」企画。大型変態ってなんだよ……。第一弾、時逆拾壱『あぶない執事』はまあ普通。「正統派JUNE魂の継承者」を名乗るさおとめあげは『ふしだらな撮影会』は、JUNEってなんだっけ……と呆然となってしまう地雷作品でした。父親と関係を持ち続けた女装少年とカメラマン、という設定は結構耽美的だったのですが。そして、第三弾として出たのがこの『王子と執事』。BLというよりは男性向けでは? と思ってしまうほどの圧倒的な濡れ場に純情だけど淫乱な王子とダメンズハジメさんのテンポのいいエピソード展開。完成度が最も高かったです。