【コミック5位】『窓際の林檎ちゃん』恋煩シビト【ウサギ】

窓際の林檎ちゃん (POE BACKS Babyコミックス)窓際の林檎ちゃん (POE BACKS Babyコミックス)
恋煩 シビト

ふゅーじょんぷろだくと 2009-10-24


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パソコンが無くてはならないものになったこの世の中。便利なはずのパソコに振り回されてしまった経験は誰もがあるはす。それでも使わずにはいられないなら、少しでも好みの子と過ごしたいと思うのは当然のことですよね。地味で従順、真面目に仕事をこなし、どんな色にも染まるけどちょっと病気がち、みんなと同じ普通の窓か。おしゃれでトータルコーディネートもばっちり、ブランドものが好きでマイペース、持っているだけでちょっと特別な気分になれちゃう個性派美人の林檎か。あなたはどちらがお好みですか?
というわけで、まさかのパソコン(OS)擬人化BL。窓川ゲイツと林檎田ジョブズ。互換性(わかりあえ)ない二人に愛は生まれるのか。描かれるネタは少しでもMacとWidowsを使ったことのあるひとならば「あるある!」と思ってしまうものばかり。食べ物もお洋服(ソフト)も好き嫌いしないけど、ウィルスに感染しやすい窓とか。お洋服が少なくてワガママな林檎とか。「あどびの服じゃなきゃ嫌だ」は名言。で、愛は…いやいや生まれないでしょ、と思いきや……うん、最近結構仲がいいですよね。中の人たちも元々そんなに仲は悪くないみたいです。むしろ最近は林檎とアドビが……。しかし一番スゴイのはキャラ名と容姿だと思います。まんまじゃないですか!
表題作以外ではホテル擬人化「心のこもった御持て成し」も傑作。ウェスティン、佳水、リッツ・カールトン、石原と高級ホテルや高級旅館を男娼として擬人化。特にリッツのエピソードには愛を感じました。ウェスティンと佳水もいいなぁ。いや、一度くらいは泊まってみたいものです。ポリフェノール×悪玉コレステロール(+善玉コレステロール)、スーパードライ×枝豆も小粒ながら良作。
擬人化全盛とはいえ、シチュエーションに頼り、キャラクター自体は作者の好みを反映させただけの擬人化ものが多い中で、この作家さんはモノの特徴を容姿やエピソードに反映させるのがすごく上手くて、単なる紹介的擬人化ではない「BL」に昇華させているなぁ、という感じがします。
一方、同時収録の非擬人化作品は、恋を腐らせて病んでしまったようなキャラクターたちのなんとも言えないストーリー。一途でも浮気をしてしまったり、勇気なんて全然無くて告白も出来なければ別れる決意も出来ない。決してカッコ良くはない、闇や業を抱えた男たちの駄目駄目な恋愛は、全然綺麗じゃないし幸せそうでもない、胸キュンもトキメキも無いのに何故か癖になります。甘いばかりのBLに飽きてしまった方にはおすすめ