【小説5位】『エンジェルヒート』西野花(鵺)【ウサギ】

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西野 花


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非合法組織『ヘヴン』のトップに立つ兄弟、景彰と漣。二人の組織が扱う媚薬・エンジェルヒートを探るために組織に潜入した七瀬はやがてエンジェルという名の性奴隷となり二人に仕えることになる。日々二人に可愛がられる七瀬だが、危険な組織のトップである二人と七瀬の日々は平穏というわけにはいかず……。
サークル内エロ担当としまして、小説にもエロ枠を取り入れてみることにしました。潔い程にエロを追求しまくっている「エンジェルヒート」シリーズは今年、二作目の「In Love」三作目の「In Blood」、さらに番外編の「ストレイエンジェル〜天使志願〜」の三冊が出ました。徹底したエロと、開き直った受の男前っぷりが見所。
まず、これでもかというほどのエロ。たとえば「In Love」では2P・3P取り混ぜてエロシーンは総計7回。エロさというよりは、バリエーションに注力気味ではありますが、その物量と読ませるエロスは圧倒的です。また、主人であり恋人である景彰と漣だけではなく、誘拐犯による輪姦など第三者とのエロもがっつり書き込んでしまうのがこの作者の特徴。これは少々読者を選ぶかもしれません。ただ、元々が陵辱調教もので、主人公の七瀬も淫乱体質かつ前向きな性格という設定のため、意外なくらいに悲惨さが無いのも特徴。むしろ、酷い目に遭いながらも感じてしまった罪悪感とそれを許す攻、お仕置きと慰めのエッチ、までがワンセットでプレイの一環的な。ちなみに三作目の書き下ろしはエンジェルヒートの主人公三人とストレイエンジェルの主人公二人で攻三人が受二人を絡ませて百合プレイを楽しむという5Pでした。正直わけがわからない。
そして受の男前っぷり。まあ、流されるだけでなく二人を正面から受け入れている時点でだいぶ男前ですが。二作目では攻の仕事に関わるようになった七瀬が、対立する人間に誘拐されてしまい、三作目はで攻の実家のヤクザに二人のうち一人を選ぶよう要求され、苦悩するのですが、どちらも受の男前ぶりが全てを解決してくれます。ストーリーを楽しむというより、それぞれの事件によって七瀬が自分たちの関係に悩み、自分の気持ちに向き合うためのエピソード、という感じ。三人の関係を維持するためにヤクザに啖火を切ってみせる男前ぶりはなかなかに爽快です。
振り返ってみると、今年のエロBLは複数人ものが多かったように思います。自分がそこを重点的にチェックしてただけかもしれませんが……。藍生有の双子シリーズに、陵辱と極限状態での執着愛を描いたバーバラ片桐の『愛憎連鎖』、女性キャラも絡めた水戸泉の『愛罪の代償』などなど。しかし個人的にはラブエロてんこ盛りの『エンジェルヒート』シリーズイチオシです。