『こんなネコミミ、好きですか?』ホームラン・拳

こんなネコミミ、好きですか? (あすかコミックスCL-DX)こんなネコミミ、好きですか? (あすかコミックスCL-DX)
ホームラン・拳

角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-08-01
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ネコ耳少女が人気ならネコ耳少年も良いに違いない、ということで選ばれたと思しき一冊。しかしこれ、ネコ耳少年が出てくるのは約三〇ページの表題短編のみで、同一世界観の短編がもう一編ある以外は別モノ。なんか騙された気がしなくもない。
 表題作に絞って紹介すれば、内容は魔法学校を舞台にしたファンタジー。主人公の遊喜が女の子のために校則で禁じられていた魔法を使ったことで、幼馴染で同室の碧が罰則としてネコにされ、ネコ耳と尻尾が生えてしまう。責任を感じた遊喜は、また魔法を使って彼を元に戻そうとする。しかしそれを見た 碧は、彼がまた女の子のために魔法を使おうとしていると勘違いし、自分を犠牲にして女の子にモテようとする彼を責める。口論の末彼らは――
 ということなのだが……ネコ耳の良さを作者が何一つわかっていない。どうも、ネコ耳がついていればそれだけで無条件に可愛いと思っているらしい。だからネタバレすると、ラストではカップル二人が淫行罪によりネコ耳になる。作者はネコ耳が増えれば読者はもっと幸せになると思ったのだろうか。
 そんなわけはない。少年だろうと少女だろうと、ネコ耳の良さとは、外見のみならずその性格までもネコであるところにある。性格がネコである、というとき、その意味には二通りある。無条件で飼い主を慕ってじゃれてくるタイプと、マイペースに悠然と生きていくタイプだ。それらのどちらか、あるいは両方を備えた上で、初めてネコ耳は鑑賞しうるものとなる。たとえば高野宮子の『無頼猫』(ウィングスコミックス)は両方を描いている傑作である。
 ――まあそういった超個人的な感想はともかくとして、BLを普段読まないような男子が本作を読むとどうなのかというと……微妙だろうなあ、と思う。
 当然、主人公たちはイケメンである。だから二人ともごく普通に女の子にモテている。しかしなぜか二人とも彼女らには手を出さず、まっすぐに同性愛者で両想い。なぜそんな奇跡が起こったのかというと、幼馴染みでずっと一緒にいたから、以上の説明はされない。彼らにとって問題なのは同性愛者としての自分ではなく、相手の気持ちが自分を向いているかどうかだけ。ちなみに全編このパターン。
 これは、どうなのだろうか。BL、それも幼馴染みモノに、そこを突っ込むのは野暮以外の何者でもないのかもしれない。しかし初心者からすれば、幼馴染というだけで同性愛関係になるのは、安直にもほどがあるのではないか。せめて少年時代の、惚れるきっかけになったエピソードの一つくらいは入れて欲しかった。
 というわけで、いまいち男子にとっての楽しみどころがわからなかった。表紙が帯を取ったら取ったで恥ずかしいのもちょっと……