【コミック5位】『セブンデイズFRIDAY→SUNDAY』 橘紅緒(原作)・宝井理人(作画)(ミリオンコミックス)【やばい】

セブンデイズFRIDAY→SUNDAY (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 28)セブンデイズFRIDAY→SUNDAY (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 28)
宝井 理人 (作画)
橘 紅緒 (原作)

大洋図書 2009-06-01


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毎週月曜日に告白してきた相手と一週間限定の恋人として過ごす芹生冬至。彼は本気で恋に落ちられる相手を探していた。顔と中身のギャップから次々と告白されては振られる篠弓弦は、軽い気持ちで芹生に付き合いを申込む。そして始まった一週間、木曜日の終りに芹生は弓弦への恋を自覚する。
透明感のある絵で描かれる高校生同士の恋人ごっこ。特にイベントがあるわけでもなく、波乱があるわけでもなく、淡々と一日一日が積み重ねられていく。特別な一週間ではなく普通の一週間。部活動、昼休み、放課後デート…と本当に高校生の等身大の一週間が過ぎていく。芹生や弓弦のような相手の有無はさておき、何気ないことがキラキラと輝いて見えるような空気感は、高校生活を経験したことのある人間ならば誰しも感じたことのある感覚で、多くの読者はそこに親近感を感じるのだろうと思う。その空気感を描ききったという点では、この作品は得難いものといえる。
二人の恋は、結論から言ってしまえば、芹生のタイプは「綺麗な顔して振り回してくれるような目の離せないひと」で、弓弦のタイプは「ありのままの自分を好きになってくれるひと」で、そんな相手に出会ったから恋に落ちた、そんなシンプルな話。というかありがちな話。なのだけれど、シンプルなだけに、どうして芹生の「ただ一人」が弓弦だったのかがイマイチ伝わって来ないのが残念。芹生の兄の恋人で、芹生の元想い人でもある紫乃と弓弦のキャラ造形が、ほぼ同じように思えるのですよね。「気付いたら恋に落ちていた」ってそれはそれでいいのだけれど、「日に日に恋に落ちていく」のならもっと劇的なところが欲しかった。もっと切羽詰った、ジタバタしてしまうような恋が読みたい。
他愛の無い、キラキラした、ちょっとだけ苦しい恋を楽しむには十分な、安心して読める作品。逆を言えば、安牌過ぎて物足りない。BLである必要性もあんまり感じられなくて、どちらを女の子に置き換えても十分通用しそうな感じ。男の子同士だからこそ、純度の高い二人だけの恋愛になる、というのはまあBLの基本ですけどね。邪魔が入らないっていう点では意味があるかな。


典型的な「誰にでも勧められるBL」ってやつですね。キラキラしてて、苦味も無くて。空気BL。凄みも何も感じられない……。かといって「センチメンタルガーデンラバー」のような突き抜けた胸キュンも無く。もう一歩、何か欲しかった。「一週間の恋」っていうコンセプトはいいと思うんですけどね。期間限定の恋人、ってBLでは結構ありがちですけど(苦笑)