【小説1位】『眼鏡屋と探偵』月宮零時・砧奈々(絵)(ガッシュ文庫)【アリス】
眼鏡屋と探偵 (ガッシュ文庫) | |
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「じゃあ俺は亮介のなんなのさ」
「眼鏡屋だ」
誰だ、探偵×眼鏡屋なんて黄金比を考えついたのは。
そのCPだけでときめきを覚えてしまう重度の眼鏡患者な僕は、速攻で読みました。眼鏡をかえるとどんな人間だって同一人物だと特定出来ない「顔のない」探偵と、眼鏡を掛けてさえいればどんな人間だって見分けられる重度の眼鏡フェチの眼鏡屋のお話。話としては探偵の目の前で失踪した調査対象の青年の殺人事件と、探偵が過去に捕まえた少年の暗躍。一方で「顔がない」ということで自分を自分と見分けられる相手が居ないと、眼鏡越しにしか人と接しない探偵の孤独。どんなひとでも見分けられ、探偵をそのひととして認識できる眼鏡屋の意地。事件の部分も結構しっかりとした(まぁあからさまな)伏線もあり、エロもらぶも取りそろえたおいしい良作です。
お気に入りなのは調査対象者がいかがわしいお店に入るのをつけたふたりが、妖しい雰囲気に煽られてしまうシーン。眼鏡屋がテクニシャンの意地をみせると奮起しながらも、空気にあたってめろめろになってお口がお留守になってしまうのを、冷静に探偵が指摘して、お返しにもっとめろめろにさせてしまうところです(表現があいまいなのはお察しください)。その前のシーンに出てきた道具立てもいかしつつ、エロい部分もふんだんに盛り込み、でも寸止めといういけずな展開。
文章はとても口当たりが軽くて、会話もテンポ良く。全体的にポップというか可愛らしい感じになっているのは、絵師さんのお陰でもあります。生真面目で融通の利かない探偵に、ちょっとのりの軽い眼鏡屋。眼鏡屋の人を見分ける能力には真面目に種があったりするんですが、おおむね探偵の人生を悲観し拗ねたところを眼鏡屋の明るさが救う感じです。お前のことなら俺が知ってるという感じ。でも一番の萌えどころは探偵と眼鏡屋というどこまでいっても黄金比の取り合わせ。もう探偵と眼鏡屋という仮称でも萌えられる。僕の萌えポイントを確実にぐりぐりと押した、今年一番の小説です。
てことで異論が有ろうとも僕はこいつら探偵&眼鏡屋の別売は認めぬと一位です。眼鏡屋ってこんなに萌えるなんて知らなかった、それを見つけ出してくれただけでもポイント高いのに、探偵×だなんて。
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