【小説3位】『酔っぱらったらものにしろ』樹生かなめ・ジキル(絵)(SHYノベルス)【ウサギ】
酔っぱらったらものにしろ (SHYノベルス) | |
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自分が帯を付けるとしたらこれかな。「最恐の襲い受、誕生」
なんていうかね、樹生かなめが健気な酔っぱらいと誠実な攻を書くと、こうなるのかー、という。いや、基本的に健気ですけどね、樹生かなめの書く受って。でも一般的には健気って、酔っぱらったふりをしてセクハラもどきを繰り返すことでも好きな男を殴りつけて「サービス料なんて取らねえから任せろよ」なんて言って押し倒すことでもない。絶対にない。そして誠実というのも、ヤった翌日に母親(義母)に「婚約者です」と男を紹介することではない。ない、のだけれど、野々村の思考回路は乙女のように健気だし、伍代は野々村がどんな酔っ払い方をしようと(本当に泥酔して恐ろしい乱行を見せつけようと)一歩も引かず、やったことには責任を取る誠実な男、なのです。むう、不思議だ。
全体的には会話の掛け合い(特に酔っぱらい(偽装)野々村と冷静に受け流す伍代の会話)がテンポよく、母親からの見合い圧力、恋敵の受付嬢、当て馬の上司に伍代の従兄弟、同僚の失敗…とまあ盛りだくさんの内容を次々と繰り出しながら纏めていくところはさすがベテラン。練られた展開と伝説の酔っぱらい野々村の暴走っぷりに敬意を表して、3位です。泥酔してもちゃんと伍代と他の男を見分けるのが可愛いよね。他の男なんて、ああ……哀れ。笑えるけど、可哀想。可哀相だけど、大爆笑。
個人的には野々村の上司(当て馬ではない)堤部長が気になります。年下の頼れる男とか現れるといいと思うんだ、はぁはぁ。