【小説4位】『兄弟の事情』渡海奈穂・阿部あかね(絵)(新書館ディアプラス文庫)【アリス】

兄弟の事情 (新書館ディアプラス文庫)
兄弟の事情 (新書館ディアプラス文庫)阿部 あかね

新書館 2009-07-10
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おすすめ平均 star
starそれぞれの事情
star弟の涙に……
star義兄弟だけど萌え!

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主人公が好きなのは、だらしのない兄だ。いつも大勢の友人を自宅に連れ込んでは馬鹿騒ぎをしている。主人公はいつも兄に使いっ走りをさせられるけれど、文句をいいつつも断れない。

いつものように兄が友人と馬鹿騒ぎをした夜、主人公は兄の友人に寝ている所を襲われる。兄に助けてもらうものの、「反応している」とからかう兄に手を出されてしまった。人の気もしらないでと頑なな態度を取るようになった主人公と、なにをやっても表情を変えなくなってしまった弟に戸惑う兄。たまりかねて家出をした主人公に兄の答えは、勿論…。

弟くんの兄に大して生意気をいうんだけど、どうしても骨抜きになってしまう「好きになった方が負け」の論理と長年暮らしてきた家族しての「弟」の論理を兼ね備えて、「もうやっていけない」っと思い詰める様は可愛いです。兄の視点からの描写もあるのですが、兄の方が憎たらしいくらいすかした心情なのも、主人公の心情に肩入れする要因のひとつ。でも兄のこの考えにはついつい頷いてしまいました、「エロいことするとエロい声を出してエロい表情をする。つまりそれは、理想」。
思いが通じた二人のお泊まりは、もう主人公のめろめろでとろける感じがどうしようもなくエロかったです。兄の方も結局は主人公にめろめろで、そっから先はもう一々動作がスキンシップに富んでいたりと、べたべた甘々。

心理描写の切ないところから感情豊かな主人公の兄のひとつひとつに心動かす様子。最後の方のらぶらぶのいちゃつきまで。なんか「読んだ」と満足感のある甘いBLでした。とびっきりの甘さは兄弟というファクターでより甘くなり、なんつかめろめろ通り越してずぶずぶって感じ。

そんなところを評価して四位。