【コミック1位】『≠ノットイコール 1』池玲文【アリス】

≠ノットイコール 1 (スーパービーボーイコミックス)≠ノットイコール 1 (スーパービーボーイコミックス)
池 玲文

リブレ出版 2010-10-09


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17歳の芦塚涼は母親の再婚がきっかけで、幼少時代に別離して現在九州に住んでいる父親のもとへと訪れた。22年ぶりに再会した父親に、父親として訪れを喜ばれているのか、どうやって接すればいいのかわからない涼。そんなぎくしゃくした再会の幕開けは、突然涼が22年前にタイムスリップしてし一変する。涼の目の前に居るのは喪服姿の細くて小さな少年、14歳の末続果ー涼の父親ーだった。突然のことに戸惑い恐怖を覚える涼だったが、果の勘違いのままに、そのまま昭和62年の世界で生活することになる。
初めはどうにか未来に戻ろうと足掻いていた涼だった。いつこのことがばれるのか、もしかしたらもどれないのかもしれない、そういった不安を感じていた。一方果の方は、祖母も死に一人父方の実家で過ごす生活が最悪だと想っていた。涼が現れるまでは。
盆のお祭りの間、涼と果はお互いのことを少しずつしっていく。涼は果の孤独さを思いがけず知ることになった。涼の中では果と父親の果がなかなかイコールで繋がることはなかった。けれどある雷雨の夜、タイムスリップのことを打ち明けた涼は、果のことを可愛いと想い始めてることに気付く。そして果も涼のことを好きだという。そのとき涼は気付いた、自分は果にずっと効きたかったのだと、「自分のことが好きか?」と。その瞬間涼のなかで果と未来の果が=で繋がれる。
それから涼は果と一緒にこの時代で暮らして行こうと決意した。それにより今までの不安は一切なくなった。しかしその矢先、涼がなりすましていた親戚本人が果の家を訪ねてきた。果は涼の本当の名前もしらなかった、その弁明の余地すらなく、涼は再びタイムスリップして未来へ戻る。
タイムスリップを織り込んだ意欲作!一巻までの成り行きをみるならば、とても気合いが入った作品だと感じます。父親である果とまだ小さく自分の父親ではない果をどうしてそこで強引に=で結べたのかは、そこらへんを二巻でじっくり明かしてもらえば。この作品の先に(多分)ある野心を評価したいのです。このタイムスリップものという難しい問題に、敢えて真っ正面から立ち向かい、父親という存在をどう暴いていくのか。正直、タイムパラドックスはどうなった!とか突っ込みたかったですが、これが二巻で大化けするならば……実は物凄い名作なのではないか。しかし僕のなかで果≠果のままなので、どうしてそこが=になれるのか、鮮やかな問題解決を望みますし、期待しています。≠というタイトルが意味するところを体現してほしい期待作です。