【コミック10位】『満員御礼 上巻』真生るいす(ミリオンコミックス)【やばい】

満員御礼 上巻 (ミリオンコミックス 56 CRAFT SERIES 31)満員御礼 上巻 (ミリオンコミックス 56 CRAFT SERIES 31)

大洋図書 2009-07-10
真生るいす

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どんな職業でも真摯に取り組む人間は魅力的だ。伝統業界ならば尚更。
主人公の鈴木誉は序二段呼び出し。相撲の取り組みで力士を呼び上げるのが仕事。名人芸目指して日々精進。そんな誉に絡んでくるのはタニマチ(相撲部屋の贔屓筋)の息子久保田梶之助。真意の見えない梶之助の行動に誉は振り回されてしまう。
職業BLは数あれど、角界BLはさすがにBL史上初じゃないかな。ページやコマの端々にお相撲業界に対する萌えがほの見える作品で、丁寧に取材して描いているのが伺えます。誉の日常描写や仕事にかける姿勢、土俵作り、呼び出しの定年制、同じ部屋の力士たち(呼び出しも相撲部屋に所属して修行するなんて初めて知った)等々、職業マンガとしての描写が魅力的で場面転換のテンポも良く、ぐいぐいと引き込まれていく感じ。過剰に説明はせず、淡々と描写をするところが逆に印象的なシーンを生んでいるように思います。特に力士。最初はアザラシのようと言われる力士たちがどんどん魅力的な男前に見えてくるからあら不思議。ちょっと独特な線で描かれる肉と筋肉が美しい……! 他の見所としては衣装もよいです。呼び出しの装束とか力士の浴衣姿とか。洋服姿のお相撲さんもそれはそれでギャップ萌え?
一方、恋愛模様はかなりのスローペース。一話目でキスを仕掛けた以外のらりくらりと真意を見せない梶之助に誉ばかりではなく読者も焦らされまくり。そもそも梶之助が普段何をしているのかさえ分からず、分かるのはどうやら大会社のお坊ちゃんらしいということだけ。どうやらお互い意識しあっているような描写が続き、上巻の最後でやっと告白の言葉が出て、さあこれから、というところで次巻に続く……。え、これだけですかちょっと待って。恋愛模様というより恋愛未満。それどころか誉は梶之助の従姉妹とデートしてるし。BLとしての評価は下巻を待たないとちょっと、というのが正直なところ。
その代わり、というのではないと思いますが、幕間で少しだけ描かれる誉の部屋の力士と外国人力士のカップルがかなりいい味を出しています。ただしこちらも告白止まり。しかも大きな勘違いにより一方通行。やっぱりBLとしての評価は完結してから、ですかね。


ちょっと「角界ロマンス」という煽りが一人歩きしている感じ。まだロマンスに至ってないよ! BLっていうより特殊業界マンガだよ! BLとしてランキングするのは、下巻を待った方が良かったと思います。ていうか来年も入れるのかな…。

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