【コミック5位】『ボーダーライン』藤谷陽子(ドラコミックス)【アリス】
ボーダーライン (ドラコミックス 195) | |
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風紀委員の活動として没収した煙草を、魔が差して喫しようとした坂口。そこへ偶々やってきた溝口に見つかった。家族に溶け込めないという疎外感やとりたてて嫌なことはないの不幸さに、溝口のそっと差し出した言葉をきっかけに坂口は泣くことができた。どこにも居場所がないような不安に「誕生日おめでという」という一言で、多分坂口は救われた。
坂口は溝口の微妙な緊張関係は、一本の境界線として表現される。どこまでも真っ直ぐ伸びた境界線を、超えることは坂口にはできない。その境界線に固執することで、坂口と溝口は親友とも言えないし恋人では断じてない。その不安定な綱渡りが一度だけ崩れる瞬間が、鮮やか。
卒業しても連絡しないで終わるだろう…という本人の予想を超えた『境界線の向こう側』は、少し時間が経って、高校時代とは違う距離感をとった二人が描かれます。十代の独特の自意識が境界線の綱渡りという表現にあったなと感じます。
全体的にはこれを除けば、先輩×後輩と先生×生徒とティーンズの悶々としたところが多い一冊でした。青少年は悩むべきだ。